Inari 記事 · アメリカ市場の視点

Etsy・Shopify・Squarespace・Wix・Big Cartel — 日本の文具作家が選ぶべき販売プラットフォームは?

最終更新:2026年8月

アメリカの文具ブランドの多くは、6〜7つのプラットフォームのいずれかで販売しています。実際の費用、得意なこと、つらい点をまとめ、いまのあなたに合う一つを見つける短い診断も用意しました。

アメリカの売り手はどこで売っているか

アメリカの小規模な文具ビジネスは、大きく二つに分かれます。マーケットプレイス型(主にEtsy)と、自社サイト型(Shopify、Squarespace、Wix、Big Cartel、WooCommerce)です。前者は「お客さまを借りる」、後者は「お客さまを育てる」方法です。

どちらが正しいということはありません。成功している個人ブランドの多くは、まずマーケットプレイスでアメリカ人が何を買うのかを学び、リピートされる商品が分かってから自社サイトを開いています。

日本の作家さんに最も多い失敗は、最初から一番高機能なものを選んでしまうことです。月5,000円を払って誰も来ないショップを眺めるより、Etsyで10件の注文がある方がずっと前に進めます。

ミニ診断:私に合うのはどれ?

ミニ診断

あなたに合うのはどのプラットフォーム?

7つの質問に答えると、いまのあなたの段階に合った販売プラットフォームを提案します。登録は不要です。

0 / 7 問回答済み

01いま販売しているのはどんな商品ですか?
02通常、1か月の注文数はどのくらいですか?
03あなたの作品をフォローしてくれる人はいますか?
04毎月かけられる費用はどのくらいですか?
05英語での技術的な設定作業はどう感じますか?
06自分のサイトの世界観やストーリーはどれくらい大切ですか?
07顧客リストを自分で持つことをどれくらい重視しますか?
すべての質問に答えてください

比較表

手数料は変更されます。目安として使い、契約前に最新の料金を必ず確認してください。

1枚のPDFにまとめました

比較表とメリット・デメリットをA4・1枚にまとめた無料PDFです。英語版・日本語版のどちらでもダウンロードできます。

プラットフォーム目安費用設定の手間自然流入向いている人
Etsy出品0.20ドル+取引手数料約6.5%+決済約3%低い — 半日でショップ開設可能集客力が高いアメリカ市場を試したい初めての出品者
Shopify月額約29〜39ドル+決済約2.9%+30セント中程度 — 週末をかければ形になる自然流入はゼロ。集客は自分で既にファンがいて卸と小売を伸ばしたいブランド
Squarespace月額約23〜36ドル(EC込み)+決済約2.9%低〜中 — テンプレートがデザインを担ってくれる自然流入なし世界観重視の作家・スタジオ、商品数が少なめのブランド
WixEC向けプラン月額約17〜36ドル+決済手数料低い — コード不要のビジュアル編集自然流入なし低予算で自由にデザインしたい出品者
Big Cartel5商品まで無料、以降は月額約15〜30ドルとても低い — 1時間で公開できる自然流入なし少量・限定ドロップ中心の作家
WooCommerce (WordPress)ホスティング月額約10〜30ドル+プラグイン。ソフト自体は無料高い — サイト管理者を自分で担う自然流入なし。ただしSEOの上限は最も高い記事中心で、技術に強い協力者がいるブランド
Payhip無料プランは手数料5%、月額約29ドルで0%とても低い自然流入なし印刷素材・PDF・デジタルプランナー・フォント販売

各プラットフォームの長所と短所

Etsy

お客さまの方から見つけてくれるマーケットプレイス。

出品0.20ドル+取引手数料約6.5%+決済約3% · アメリカ市場を試したい初めての出品者

長所

  • 和紙テープやノートを探している米国の買い物客が最初からいる
  • 決済・為替・多くの税処理をEtsyが代行してくれる
  • 英語の出品テンプレートと翻訳機能が標準搭載
  • 自分のファンがいなくてもEtsy広告で露出を買える
  • レビューが貯まると無名の日本ブランドでも信頼されやすい

短所

  • 手数料が積み重なる。広告込みで売上の12〜15%を想定
  • 顧客のメールアドレスは自分のものにならない
  • 検索順位やポリシー変更をコントロールできない
  • 自分のデザインの安価な模倣品と並んでしまう
  • ブランド表現はバナーと写真の範囲に限られる

Shopify

本格的に育てるための、自分のためのストア。

月額約29〜39ドル+決済約2.9%+30セント · 既にファンがいて卸と小売を伸ばしたいブランド

長所

  • ブランド表現・メール獲得・顧客データをすべて自分で管理できる
  • 配送ラベル、関税前払い(DDP)、定期購入の優れたアプリが揃う
  • 多通貨・多言語のストアを1つの管理画面で運用できる
  • 卸価格やFaire連携の設定がしやすい
  • 月10件から数千件まで移行なしで拡張できる

短所

  • 売れない月でも月額費用がかかる
  • 自動的にお客さまは来ない。SEO・メール・SNSの作業が必須
  • アプリ費用がすぐ膨らむ(1つ月10〜30ドル)
  • 管理画面は英語中心。日本語サポートはやや手薄
  • 商品数が少ないうちは過剰

Squarespace

美しい世界観のサイトに、販売機能を添えて。

月額約23〜36ドル(EC込み)+決済約2.9% · 世界観重視の作家・スタジオ、商品数が少なめのブランド

長所

  • テンプレートが本当に上質。デザイナー無しでも日本らしい世界観が出せる
  • サイト・ブログ・ショップ・メール配信が1契約に含まれる
  • 設定項目が少なく、Shopifyより学習コストが低い
  • 作品紹介とストーリーを商品と一緒に見せるのが得意
  • ワークショップ販売用の予約機能も内蔵

短所

  • 配送・関税・在庫まわりの機能はShopifyより弱い
  • アプリが少なく、標準機能の範囲で運用することになる
  • 商品数が多い場合やバリエーションが複雑な場合には不向き
  • 卸・B2Bは工夫が必要
  • 集客機能はなく、流入はすべて自力

Wix

ドラッグ&ドロップで自由に、無理なく。

EC向けプラン月額約17〜36ドル+決済手数料 · 低予算で自由にデザインしたい出品者

長所

  • 本格的なEC機能を持つホスティング型の中では最も安価
  • 完全なビジュアル編集で、要素を自由に配置できる
  • 日本語のインターフェースとサポートが充実
  • 予約・ブログ・簡易メール配信が付属
  • 無料プランで練習してから移行できる

短所

  • 自由度が高いぶん、重く雑然としたサイトになりやすい
  • SEOは可能だがShopifyやSquarespaceほど整理されていない
  • 後から他社へ移行しづらい
  • 国際配送・関税まわりのツールが少ない
  • 公開後にテンプレートを変更するには作り直しが必要

Big Cartel

小さく、安く、静かに。少数の商品向け。

5商品まで無料、以降は月額約15〜30ドル · 少量・限定ドロップ中心の作家

長所

  • 最初の5商品までは本当に無料
  • 作家向け設計。ドロップや限定品、一点ものに強い
  • 設定も保守もほとんど不要
  • 固定費が低く、テスト段階のリスクがほぼない
  • 余計な要素のないすっきりしたショップページ

短所

  • 機能が非常に限られる。本格的なSEO・アプリ・自動化は不可
  • 分析が弱く、顧客データベースと呼べるものがない
  • 受注が安定すると必ず手狭になる
  • 卸・セット販売・定期購入への対応がほぼない
  • マーケットプレイスの集客は一切なし

WooCommerce (WordPress)

技術が好きな人のための、最大限の自由度。

ホスティング月額約10〜30ドル+プラグイン。ソフト自体は無料 · 記事中心で、技術に強い協力者がいるブランド

長所

  • プラットフォーム月額費用なし。ホスティングとプラグインのみ
  • 長文記事とSEOの上限が本ガイド中で最も高い
  • データ・デザイン・決済フローを完全に自分で管理
  • 日本の決済手段を含む膨大なプラグイン群
  • 自分以外に店を止められる相手がいない

短所

  • 更新・バックアップ・セキュリティ・障害対応は自分の責任
  • プラグインの競合で最悪のタイミングに停止することがある
  • 丁寧に設定しないと表示が遅くなりがち
  • 外国語での学習コストが高い
  • 本当のコストは料金ではなく自分の時間

Payhip

デジタル商品・印刷素材を売る一番シンプルな方法。

無料プランは手数料5%、月額約29ドルで0% · 印刷素材・PDF・デジタルプランナー・フォント販売

長所

  • デジタル配信・ライセンス・EU/UKのVAT処理を自動化
  • 無料で開始でき、売れたときだけ費用が発生
  • クーポン・セット販売・アフィリエイトが標準搭載
  • Payhipのページでも、他サイトへの埋め込みでも販売可能
  • 配送・通関・関税を考えなくてよい

短所

  • 物理商品の販売には向かない
  • ストアのデザイン自由度が非常に低い
  • マーケットプレイス機能はなく、集客はすべて自力
  • 分析機能はShopifyに比べて簡素
  • 単独ではなく、他と併用するのが一般的

日本から売る場合の注意点

  • 入金:Shopify Paymentsは日本の全事業者が米ドル販売で使えるわけではありません。PayPalやStripeが必要かどうか、また銀行が外貨送金に対応しているかを確認しましょう。
  • 関税と少額免税:プラットフォームは通関を代行しません。どれを選んでも、関税を織り込んだ価格設定が必要です。詳しくは関税ガイドをご覧ください。
  • 消費税と特定商取引法:海外発送は基本的に免税取引ですが、自社サイトには特商法ページが必要です。マーケットプレイスはその枠組みを用意してくれますが、自社サイトは自分で整えます。
  • 言語:日本語対応が最も手厚いのはEtsyとWixです。Shopifyの管理画面も日本語で使えますが、上級アプリの多くは英語のみです。
  • 時差:自社サイトでは問い合わせ対応をすべて自分で、しかも深夜に行うことになります。マーケットプレイスはその負担を一部引き受けてくれます。

関税ガイドを読む →

3段階のシンプルな進め方

01

第1段階 — 需要を確かめる

Etsy(デジタル商品ならPayhip)から始めます。20点の出品、正直な写真、アメリカ人の検索の仕方に合わせた英語タイトル。目的は利益ではなく、どの商品がリピートされるかを知ることです。

02

第2段階 — 関係を自分のものにする

月30件ほどになったら自社サイトを追加します。世界観で売るならSquarespace、物流や卸で伸ばすならShopify。初日からメール収集を始め、Etsyも並行して続けましょう。

03

第3段階 — 事業にする

売上の主軸を自社ストアへ移し、卸やFaireを追加し、関税込みの価格を設計します。マーケットプレイスは「発見してもらう場所」として残します。

よくある質問

日本の文具作家はEtsyとShopifyのどちらから始めるべきですか?

アメリカにまだファンがいないならEtsyです。Etsyは買い物客を連れてきてくれますが、Shopifyは連れてきません。月30件ほどの注文が安定してきたら、ShopifyやSquarespaceで顧客との関係を自分のものにし、利益率を高めましょう。

Etsyと自社サイトを同時に運営しても問題ありませんか?

問題ありません。むしろ定着したブランドの多くがそうしています。価格を揃えて不信感を与えないようにし、同梱カードでEtsyのお客さまを自社のメールリストに招待しましょう。

小規模な日本ブランドにとって一番安いのはどれですか?

Big Cartelは5商品まで無料、Payhipはデジタル商品なら手数料5%で無料です。Etsyは月額無料ですが広告込みで1件あたり12〜15%程度かかります。つまり最安かどうかは表示価格ではなく販売数で決まります。

印刷素材と物理商品を同じプラットフォームで売れますか?

売れます。EtsyもShopifyもデジタルダウンロードと発送商品を併売できます。Payhipはデジタルの売上が大きくなり、ライセンスやVAT処理を自動化したい場合に追加を検討してください。

プラットフォームの選択は関税に影響しますか?

直接は影響しません。関税は商品・価格・分類で決まります。違うのは機能面で、ShopifyやWooCommerceは決済時に関税を提示・徴収できますが、Big CartelやPayhipにはその機能がありません。

あとから乗り換えるのは大変ですか?

商品情報と顧客リストはどのサービスからも書き出せます。ただし検索順位とレビューは移せません。2つ目に選ぶものを長期の本拠地にするつもりで選びましょう。

自分がどの段階か分からないときは

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— Gin / Inari Stationery Strategy